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【サイエンスZERO】P・スワイヤーアイ(マリアナスネイルフィッシュ)特集

昨年JAMSTECNHKの研究チームが、マリアナ海溝の水深8,178mの超深海で泳ぐ魚の撮影に成功したことは記憶に新しいですが(「マリアナ海溝の水深8,178mにおいて魚類の撮影に成功」参照)、5月6日放送のサイエンスZEROは、この魚「P・スワイヤーアイ」(シュードリパリススワイヤーアイ)の特集でした。

世界一深い海、マリアナ海溝で見つかった真っ白な超深海魚、P・スワイヤーアイ。指先に800kgをこえる水圧がかかる世界で、どうやって生き抜いているのか?最新の研究から、その秘密が解き明かされてきた。高い水圧にたえる細胞の仕組み、獲物をしとめるために巨大化したアゴと歯。さらに骨の研究から7000メートルもの高低差を旅する、常識破りの一生を送っていることも判明。深海で繰り広げられる驚異のドラマに迫る。

http://www4.nhk.or.jp/zero/x/2018-05-06/31/6670/2136673/ より

元々は学名が無く、「マリアナスネイルフィッシュ」と呼ばれていましたが、昨年11月に正式名称(= Pseudoliparis swirei、シュードリパリススワイヤーアイ)が決まりました(「Pseudoliparis swirei sp. nov.: A newly-discovered hadal snailfish (Scorpaeniformes: Liparidae) from the Mariana Trench」参照)。

シュードリパリス」がシンカイクサウオの仲間を意味し(属名)、「スワイヤーアイ」が名前の部分(種名)になります。

元の論文によると、チャレンジャー海淵(マリアナ海溝の最深部)を初めて調査したHMSチャレンジャー号の測深担当士官、ハーバート・スワイア(Herbert Swire)氏に因んで名づけられたそうです。

高い水圧に耐えられる仕組み

超深海の高圧環境では、通常、水の分子によって体をつくるタンパク質が正常に機能しなくなりますが、TMAO(トリメチルアミン-N-オキシド)と呼ばれる有機化合物が、水分子をタンパク質から引き離すことによって、タンパク質の正常な機能が損なわれないように働いていることが、近年の研究で明らかにされています。

深いところに棲む魚ほどTMAOを多く有し、P・スワイヤーアイの細胞には、すべての魚の中で最も多く、このTMAOが含まれているのだそうです。

超深海最強の王者

CTスキャンした結果、P・スワイヤーアイは100本以上の歯を持ち、さらに、人間でいうところの喉仏の部分に「咽頭顎(いんとうがく)」と呼ばれるアゴを持っていることが分かりました。

MarianaSnailfish.CTRotation.Summers.Gerringer

これによって、固い殻を持つ甲殻類(カイコウオオソコエビ)を粉砕して捕食しているのだと考えられます。

オタマジャクシのように白くてカワイイ見た目とは裏腹に、獲物となる無脊椎動物が多く生息する超深海環境においては、食物連鎖のトップ、まさに王者であるといえます。

CT scan: Mariana snailfish-2

CT scan: Mariana snailfish-4

深まる生態のナゾ

捕獲した個体の耳石を、二次イオン質量分析装置を使って調査した結果、P・スワイヤーアイは、生まれてから2、3年は水深1,000mよりも浅い、光が届くエリアで暮らしていることが分かりました。

何故赤ちゃんの時に浅い場所にいるのか、今のところ全く分かっていませんが、番組内では下記の仮説が立てられていました。

  • 同じクサウオ科の魚である「サケビクニン」は、水温が上がると産卵する。
  • P・スワイヤーアイは、産卵の時期になると、海流を利用して水温が高い浅いエリアに上がってきて産卵をし、終えると再び海流を利用して超深海に戻る。

この仮説を立証するためには、深さの異なるエリアでP・スワイヤーアイを見つける必要があります。

おわりに

そういったわけで、素人ながら先日放送のサイエンスZERO、P・スワイヤーアイ(マリアナスネイルフィッシュ)特集回の内容をまとめてみました。

30分間という非常に短い時間ながら、内容がよくまとめられていて、また、ゲストである北里先生の解説が分かりやすかったため、私のようなド素人でも、ある程度内容についていけました。

指先に数百トンもの圧力がかかるような超深海で暮らす魚『P・スワイヤーアイ』、魚が暮らせる深度限界と考えられる8,200m界隈でどのように生きているのか、その生態はまだまだ多くの謎に包まれていますが、今後研究が進むことによって、徐々に明らかになっていくことでしょう。

私はイチ深海好きーに過ぎませんが、今後も新たな発見がされることを期待しつつ、続編となる特集を待ちたいと思います。

※ 本記事のアイキャッチ画像は「マリアナ海溝の水深8,178mにおいて魚類の撮影に成功」動画の一部キャプチャーを使用しています。

参考Webページ

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