kintone

kintone hive tokyo vol.9に参加しました。

2019年6月20日(木)に豊洲PITで開催された、「kintone hive tokyo vol.9」に参加してきました。

今回は、hiveで伺ったユーザー事例紹介を中心にまとめてみたいと思います。
(昨年のvol.7の様子はこちら↓から)

ユーザー事例紹介

開会の挨拶が終わると、いよいよユーザー企業様による事例紹介です。
メモしたプレゼンテーションの概要を箇条書きで書いていきます。

株式会社SQUEEZE 吉田 幸平氏

最初の事例紹介は、株式会社SQUEEZEの吉田さんによる「社長を安心して寝かせてあげたい ~スタートアップ企業に潜む、オバケとの戦い~」です。

  1. 株式会社SQUEEZEは2014年創業で、民泊ノウハウを生かした「ホテル運営」を行うスマートホテル事業や、宿泊事業を実施するための「物件予約・清掃管理システム」を提供するIT事業を展開。
  2. 社内のコミュニケーションは「Slack」を活用。
  3. 深夜1時でも社長からのSlack投稿→社長が寝ない→寝ないのは「おばけ」がいるからではないか?
  4. 社内に潜むおばけとは「大量の情報」である。
  5. おばけ退治をするために社内の情報を整理→「コミュニケーション」(Slack,Gmail)「業務フロー」(Slack,Google スプレッドシート)「ナレッジ共有」(Slack,Google ドライブ)の3つに分類。
  6. おばけが潜むのは主に“業務フロー”と“ナレッジ共有”
  7. 「業務内容」と関わる部署を区分けし、kintoneで業務の流れに沿ってアプリを作成。
  8. 視覚的に分かりやすいプラグイン(smart balloon)を利用し、利便性を向上。
  9. 部署をまたぐ依頼業務をkintone内で実装。
  10. にも関わらず、kintoneを見てくれないどころか通知にすら気づいてくれない。
  11. 原因はkintoneが日常の「動線」に入っておらず、見る習慣が出来ていないこと。
  12. 社内で一番使っているSlackとkintoneを「共存」させる。
  13. kintoneの通知情報をSlackに通知することで、動線に入るようになった。
  14. ・・・でも、社長は相変わらず深夜にSlack。結局創業者は仕事が大好きだった!
  15. 結局退治したかった「おばけ」とは何だったのか? ― 情報が埋もれ、簡単に探せず、業務フローも出来ていない、社長が眠れないほどの“会社として正しくない状態”であり、社員全員が感じていた課題を解決したかった。
  16. 情シス無しでも、Slack連携やポータルのカスタマイズ(キンスキ.com活用)といった、kintone構築ができた。「ググればできる!」

第一法規株式会社 杉浦 沙織氏

次の事例紹介は、第一法規株式会社の杉浦さんによる「データ地獄メール地獄に一筋のくもの糸 ~kintoneで解決する採用活動の課題~」です。

  1. 杉浦さんは業務改善推進部、所謂「情シス」所属、業務システムでは今でもCOBOLを使用。
  2. kintone導入企業が100社程度だった2011年にkintoneを導入。
  3. 採用に際し、“事務作業が多くて学生と向き合う時間が作れない”という課題があった。
  4. 2006年時点でエントリーシートをデータ管理するようになったが、応募者一人一人に対してメールを一通一通やりとりする、「データ地獄」「メール地獄」状態→kintone管理
  5. エントリーフォームから入力されるエントリー情報をDataSpiderを使ってkintoneに流し込み。
  6. Webブラウザーで見られる、レイアウト自由自在、画像も一緒に管理できる、フィルタリングも容易、出力用PDFも同時に管理できるといったメリット。
  7. kintoneを使うことで、「閲覧」「選考管理」「エントリー情報の抽出」を一元管理できるようになった。
  8. 一通一通送っていたメールも、DataSpiderとの連携により、kintoneアプリからボタンを押すだけで送信できるようになった。
  9. kintoneを活用することで、「人的ミスの減少」「誰でも対応可能に」「効率化で時間短縮」を達成 → “みればわかる。さわればつかえる。”を実現。
  10. プレゼンタイトルの一筋の“くも”、実はkintone = 雲(cloud)とDataSpider = 蜘蛛を懸けていた。
  11. 今後は90以上あるアプリを整理したい。
  12. 情シスメンバーではないユーザー自身がアプリを作成できるよう、kintoneマスター育成講座を開催したい。

アソビュー株式会社 小林 信也氏

次の事例紹介は、アソビュー株式会社の小林さんによる「壊れかけたkintoneを復活させた、たった1つの大切なこと」です。

  1. アソビュー株式会社は2011年創業で、インターネットサービス事業、マーケティング・プロモーション支援事業、ERP(基幹系情報システム)事業、コンサルティング事業等を展開。
  2. asoview!(アソビュー):レジャー、遊び、体験の予約サイト。400以上のジャンル、予約できる体験・購入できる電子チケットが約20,000種類。
  3. アソビューでは、2016年に経験者を中心にkintoneを導入し、サポートセンターの活動履歴管理から利用開始。
  4. 顧客管理などに範囲が広がったものの、全体管理者が不在に。
  5. アプリの制作権限がばらまかれ、色々なアプリが乱立。
  6. 一つのアプリに管理者が10人以上いることが常態化 → 誰がアプリを更新したのか分からない状態。
  7. カスタマイズしまくりで誰も弄れないアプリが出現。
  8. 事態解決を任されたのが、自称“プロ雑用”の小林さん。
  9. 小林さんの取り組み:業務の明文化 → 業務の流れを整理 → アプリの設計 → 実際に運用 → 実態把握 → 課題特定
  10. 設計段階では、現状のアプリのことは考えず、ゼロから考え直し。kintoneの標準機能だけで設計を行い、カスタマイズは無し。
  11. 結果、(1)サポートチームの生産性が1.5ヵ月で2.9倍、(2)案件の引継ぎ漏れが無くなる、(3)契約店舗情報の一元管理化、(4)連絡履歴が店舗ごとに把握できるように、(5)パートナーの問い合わせ内容別件数からサービスの機能改善が可能に、(6)問い合わせ内容を分析してヘルプページの導線を整理、等につながった。
  12. 目的にこだわる」、このたった一つのことを徹底して大切にすれば、アプリ制作から業務改善まで必ずうまくいく。
  13. 目的にこだわるために実行した3つのポイント:(1)アイコンと名前を本気で考える、(2)よく観察する、(3)シンプルにつくる。
  14. アイコンと名前は、“一瞬でアプリの正体をイメージ”させる → 派生アプリはデザインや名前に共通性をもたせる、同じカテゴリーのアプリはベースカラーを共通にする、大幅アップデート時にはアイコンも更新する。
  15. 名前だけでなく、アイコンまで自由にできるのはkintoneだけ。
  16. いらすとや」や「Flaticon」といったフリー素材を活用。PowerPointにもSVGアイコンや3Dイメージがある。
  17. 観察とは「見る」こと、「聞く」こと、「創造する」ことである。
  18. 事実(定性・定量)を集める → 事実(FACT)を元になぜなのかを考える → 改良のヒントにする。
  19. 観察して改良する:契約パートナーやユーザーからの問い合わせ履歴を管理するアプリ、10回以上改良を重ねることで生産性が2.9倍に改善。
  20. 改良したつもりがダメだったこと:失敗した、間違ったと思ったら戻せば良い。kintoneなら、いくつでも何回でもすぐに直せる。
  21. シンプルとは、必要な要素をこれ以上削れないところまで絞り切ることである。
  22. シンプルにつくるために意識したこと:アプリを使う人、入力する人、データを見る人にどう行動してほしいのか?、アプリを使って、データを分析して、どんな結果がほしいのか?
  23. シンプルにつくるときに考えること:“必要なものを、必要な数だけ” ― そのフィールドのデータ、本当に必要ある?、共通しているフィールド名は同じか?、そのカスタマイズは本当に必要か?
  24. 『細かい調整ができないkintoneだからこそシンプルにしやすい』 → 制限があるからロジカルに考える。
  25. 3つのポイントの効果:操作が直感的でわかりやすい(教育の手間が少なく、誰でもすぐに使える)、意味のあるデータが貯まる(精緻で正確な分析が可能、溜まるほど高価値に)
  26. アプリ名が日常会話(動詞)になること = 定着したことになり、それ自体が効率化である。例えば、「〇〇の支払先情報が回収されているかPayAccountのレコードを確認して、レコードが無かったら〇〇に連絡して回収活動してね」という指示が、「〇〇のPayAccountチェックしておいてね」の一言で済む。
  27. アイコンと名前を考える → 一瞬で機能をイメージしてもらう。
  28. よく観察する → 事実を元により使いやすく進化させる。
  29. シンプルにつくる → 無理・ムダなく、迷わせない。
  30. 作ったのに使われない、なんか違うというのは、目的がブレている、もしくは目的からズレている。即ち、3つのポイントをクリアしていない。
  31. 自分でも忘れる位のアプリ名は失敗。

ケミカルグラウト株式会社 小野 一樹氏

次の事例紹介は、ケミカルグラウト株式会社の小野さんによる「55年間地盤を改良してきた会社が遂に業務も改良し始めた話し」です。

  1. ケミカルグラウト株式会社は1963年設立、「開発」(現場で使用する技術や機械等の開発)、「設計」(工事に最適な手法の技術提案)、「施工」(現場で安全・品質・コスト等を管理)といった事業内容。
  2. 現状:昼は現場管理(関係者間で現地打ち合わせ、作業員の不安全行動を確認他)、夜は事務作業 = 残業(写真や伝票の整理、作業記録・日報の作成他)が日常化。
  3. これまでの取り組み:Excel(属人化したテンプレート)を駆使した業務効率化 → 長時間労働、若手の離職。
  4. 隙間時間を有効に使えない → 現場でも事務作業をできる環境を整備。
  5. 日常業務が改善されない → 定型業務の「システム化」「作業共有」
  6. 業務改良第一弾として、ツールを使って写真管理業務を改善 → ツールを入れたらいける!
  7. 業務改良第二弾として、資料作成業務を改善。属人化したExcelをアプリ化し、統一された書式を導入しようとしたところ、現場担当者からは「雛型の統一は無理」「別にそこは困ってない」
  8. 要件を作りながら詰める「ワークショップ」を実施 → 自分が経験していない工種の過去事例が整理されていない、サーバーにデータがあるのに整理されていないために見つけることができない、資料作成時に同じ情報を入力することが多い、といった問題点の洗い出し。
  9. データの登録だけでなく、いかに活用するか?」が重要だった。
  10. テストランまでに実施してきたこと:現場を巻き込んで本質のニーズを把握&小まめなフィードバック、アジャイル形式の開発(kintone)、UX中心にレビュー
  11. アプリの広め方:(1)徹底した操作性向上、(2)アプリに高い満足感、(3)口コミ式で展開
  12. 一人当たりの削減効果:隙間時間 15分×180日=45時間、資料作成 24時間×6現場=144時間、日数換算で24日相当
  13. 若手の離職率ゼロ%
  14. 「一人で悩まず仲間やパートナーを見つけられますように!」

三井化学株式会社 篠原 文子氏

次の事例紹介は、三井化学株式会社の篠原さんによる「BtoCへの挑戦 化学素材メーカーがメガネを売る」です。

  1. 香川県出身の篠原さんはうどんを意識したコーデ
  2. 三井化学株式会社のメガネレンズ材料の世界シェアは約45%で世界No.1
  3. ワンタッチで遠近を瞬時に切り替えられる次世代アイウェア「TouchFocus」を半年後から販売 → BtoCへの挑戦
  4. 従来のBtoBビジネス:装置産業、大量生産、コンテナ → 基幹システムはガチガチのERP
  5. 始めるBtoCビジネス:手作業組立、カスタムメイド、化粧箱 → どうやって注文取るの?時間もなく、フルスクラッチやパッケージは×
  6. 直感的、エラーを出さない、シンプル、すぐに対応 → kintoneへ
  7. 組織設定によって、各販売店は自店のデータだけを参照。
  8. プロセス(ステータス)管理とレコード編集権限
  9. とにかく標準機能にこだわる
  10. 「早い」「安い」「かしこい」kintone Love → 蜜月は長く続かなかった。
  11. 石頭、寸足らず → アプリを作って見てもらって、すぐに改善できるのがkintoneの良さ。
  12. 当初のアプリ数は15、マスタは3つ。
  13. 初めての注文は感動!

kintone AWARD関東地区代表はアソビュー株式会社の小林さん

各ユーザー事例紹介を終え、会場の参加者からの投票により選ばれたkintone AWARD 2019・関東地区代表は、アソビュー株式会社の小林さんに決まりました。

小林さんが伝えたいことが分かりやすくまとめられており、多くの参加者の心に刺さったプレゼンでした。
もちろん、他の登壇者の方々のプレゼンも素晴らしく、正直誰が一位になってもおかしくなかったと思います。

kintone hive NIGHT(懇親会)

閉会の挨拶の後は、特別企画「俺のキントーンを見ろ」(略して俺キン!)でkintoneマスターたちによるトークを聞きつつの懇親会です。
氷結からよなよなまで揃っていて、どれも良い感じで冷えてます。

まい泉のミニメンチかつバーガーまで用意されているとか、控えめに言っても最高でした。

昨年に引き続き、私はぼっち参加のkintone hiveでしたが、懇親会は一人でも十分に楽しめます。
俺キン!トークも、登壇者の方々のkintone愛が伝わってきて面白かったです😆
(登壇者の一人である笹川さんの資料はこちら↓)

感想

初めに「見える化」ありき

事例紹介で共通していたのは、kintoneを導入したから業務改善や効率化が図れたのではなく、現状を知る、即ち「見える化」がまず第一にあり、業務内容の見直しと合わせてkintoneを活用することで、結果として業務の効率化に繋がっていました。

kintoneはたしかに優れたソリューションですが、これを入れただけですべてが解決するわけではありません。
業務を可視化しムリやムダを省く、そのためのツールとしてkintoneを活用する、フローの見直しがあればこその業務改善だと、改めて実感しました。

標準機能を活かす

JavaScriptによるカスタマイズ、API連携、kintoneは非常に多機能です。
しかし今回の事例紹介では、それら拡張機能を使ってガチガチにカスタマイズするのではなく、あくまでも標準機能を中心にkintoneを活用されていました。

この点は非常に重要で、私自身もkintoneを利用する上で、カスタマイズは最小限に留めた方がメリットが活きると思っています。
ガチガチに作り込んでしまうと、フルスクラッチのシステムと変わらなくなり、特定の人だけが管理できる属人的なシステムになってしまいます。
「誰でも簡単にアプリを作れる」という、kintoneのメリットを活かすためにも、アソビュー株式会社の小林さんが仰っていたように、可能な限りシンプルな仕様を目指した方が良いでしょう。

もちろん、kintoneの標準機能だけではカバーしきれない部分もあるので、そこはDataSpidersmart balloonといった、優れたプラグインや連携サービスの出番です。

全体を通して

今回のkintone hiveも、始まりから終わりまでがあっという間でした。
どのユーザー事例も勉強になりましたが、特に、関東代表に選ばれた小林さんの「目的にこだわるために実行した3つのポイント」は、kintoneに限らず他の場面でも活かせる視点で、大変参考になりました。

kintone hiveは、その名の通りkintoneユーザーのためのイベントではありますが、事例として紹介される方々の取り組みには、業務改善そのものに役立つメソッドが詰まっています。
来年度の開催もすでに決定されているようなので、次回も是非参加したいと思います。

最後に、個人的に今回のイベントで唯一残念だった点、それは代表を選抜するための投票でした。
指定時間内に投票サイトにアクセスして最も良かった企業1社を選ぶ手順になっていたのですが、

もう全然サイトに繋がらない・・・

私が使用している回線が悪かったのか、電波状態のせいなのか、会場内ではサイトを開くのも儘ならず、何とか投票はしましたが、それがちゃんと反映されたのかどうか自信が持てない程でした。
Web投票には集計しやすいメリットはありますが、ネットワーク環境にも左右されるデメリットがありますね😅
(サイボウズさんのことなので、次回はきっと改善されるはず!)

会場の様子

以下は会場の様子です。
グッズや関連書籍を取り扱うサイボウズ商店も大変賑わっていました。

Twitterまとめ

@p52_roccaさんが今回のイベントのツイートをまとめてくださいました。
ツイートを眺めるだけでも会場の雰囲気が分かりますので、是非ご参照ください!

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